青いインク壺

 日々写真詩-『妖精・精霊・詩』

2015-02-27から1日間の記事一覧

ときどき つぶやき

古書店っていうのは ほんとうに 想像と閃きと創造に 満ちていて なにかある と感じさせられる ときどき たとえば 明るい銀色で紡がれた糸とか その引力とか ・。*

 季節の精霊

そうよ 何かを急いでいるようだったのよ あのかた はやく はやく と 冷たい 光をたくさん混ぜ込んだ 甘くて薄青の粒を そこいらじゅうの風に撒いてまわってたのよ 生き物たち 緑や花もふくめてね みんな だからざわめいているの ・。*

 旅

もしかしたら人は からだが老いたある時 年をとってしまった ではなく えらく遠くまで来てしまったものだ と思うのだろうか 老体の内には 老人は住んではいないのだし ・。*

 救 い

皿と皿がぶつかり合うような ある種の動物の悲鳴のような音が 脳内に響きわたる 突然の幕切れ わたしを トメドナイ綱渡りの迷路から救い 意図しない焦点を目の前の風景のなかの ある物質にあわせてくれる メヲサマス ヒツヨウガ アルノカ ・。*

湿 度

いつからあるのか 誰のものかわからぬ 古い時代の写真帖 袴姿で並ぶ 髪を上げ 鏡餅のように大きく結った女性たち 名前も 文字も書き込まれていない 枯葉のように乾いた写真たち 母は言った 前のめりな息で この人がそうじゃないかと思うの 母は探していた …