青いインク壺

 日々写真詩-『妖精・精霊・詩』

写真詩

= Zero

いつしか夢のように すべてが 明らかになり 見えても 見えていなくても存在している ″わたし″ を じぶんの中に すべてのものの中に 体感するでしょう じぶんの中にあるものを あなたは 目の前に見ていることも ・。*

 不思議

ある猫が立つとき きっちり両前足をそろえない不思議 庭の木の 小さな実が まるで魚や蛙の卵にような輝きを見せる不思議 内側のわたしが 若い年のころに想像していた “ なっているはず ” の内側のわたしに ならなかった不思議 ・。*

美のあるところに絶望はないのか

ときに灰色が 耐え難いほどに 身もだえするほどに 美しく感じる 美しく “ 見える ” とは少し違い そのとき私はこちら側から見ているのにもかかわらず そのグレイの内側やさらに奥や 表情を 胸の 胸よりも僅かに高い位置で感じるのだ そしてあまりの美しさに …

女の痛み

森 瑤子の『ダブル・コンチェルト』の女は 作家シナ、 45歳 私とは 年齢以外、立場も生き方も随分と違う女性 だけどこの年齢が持つ “ 女の痛み ” は 今だからなのか苦しい程わかる この年齢がそうさせるのかわからない なぜか どうしても 自分が女だと 思…

 だからね

だからね、だれかに あなたはこうね と言われても 信じないことね 自分が、わたしよわたし わたしはこうね と言ったからといって 信じないことね わたしは わたし ただそれだけなんだから ・。*

 笑うこと

わたしが わたしの身体から のぼり漂う匂いをかぎ わたしの手のひらを見つめ 浮かび上がる血管の際立つ その手の甲をさすり その身体と手でつくりあげたものを この世界に出現させ 作品に遠慮がちにそっと触れ 笑うこと わたしの人生のだいたいの様子 ・。*

感 触

そこに 見ようと思わなければ見えないような 一色を見るとき わたしは なんとも言いがたいよな 香りと甘みをともなう 貴重な感触を得るのだ それは なぜか 歯触りと表現できるかもしれないが 決して噛んではいないのが 貴重であるところだ ・。*

 季節の精霊

そうよ 何かを急いでいるようだったのよ あのかた はやく はやく と 冷たい 光をたくさん混ぜ込んだ 甘くて薄青の粒を そこいらじゅうの風に撒いてまわってたのよ 生き物たち 緑や花もふくめてね みんな だからざわめいているの ・。*

 旅

もしかしたら人は からだが老いたある時 年をとってしまった ではなく えらく遠くまで来てしまったものだ と思うのだろうか 老体の内には 老人は住んではいないのだし ・。*

 救 い

皿と皿がぶつかり合うような ある種の動物の悲鳴のような音が 脳内に響きわたる 突然の幕切れ わたしを トメドナイ綱渡りの迷路から救い 意図しない焦点を目の前の風景のなかの ある物質にあわせてくれる メヲサマス ヒツヨウガ アルノカ ・。*

湿 度

いつからあるのか 誰のものかわからぬ 古い時代の写真帖 袴姿で並ぶ 髪を上げ 鏡餅のように大きく結った女性たち 名前も 文字も書き込まれていない 枯葉のように乾いた写真たち 母は言った 前のめりな息で この人がそうじゃないかと思うの 母は探していた …

我がまま

唇に そっと小指を添わせ ミルクの中でラズベリーをつぶしたような色合いの口紅をひく ほんとうは似合わないのかもしれない だけどわたしの顔が パッと 好きな人を見かけたときのように明るくなるから いいの それで ・。*

私を救ったもの

人は 良い思いをもつ他の誰かに ふれられることを必要としている それだけど 年を重ねるにつれ誰かにふれられることが減ってゆく 年に一度会う 母方の祖母の手の 甲をさすったとき 言わずも祖母の体の周りを 喜びがおおっているのを私は感じた もっと たびた…

匂い とは

匂いと 記憶 の関係 香りは 認知症予防にも効果を期待されていると 以前に耳にした 猫など野生本能の動物は 風邪などで鼻が利かなくなると 食べなくなる 匂いを感じ感知する とは 脳的に身体的に精神的に感情的に 積極的に生きることか ・。*

 つづき

たとえば 花が開いていない日があったとしても たとえば それだけを目的にしてきたのだったとしても あなたの目的は 落胆し首をうなだれたその視線のたどるあたりに 潜んで用意されていることも 知っていることですよ ・。*

 落葉樹

たとえば ひとつの木に 花しかついていない ひとつの木に 実しかついていない このしばらくの期間は わたくしたちを 現実とは 夢にすぎないのか という 真実への気づきに導いてくれる 貴重な時にちがいない ・。*

  蓋 

身体が ガタガタと震え止らないでいるのに 両腕を 両肩を抱いてその震えを止め なぐさめることのできな両手 その両手は蓋をあけることならできた 両目から 頬を伝わらずに規則性なく落ち続ける水が いえ私が 両手で蓋を開け続ける 何を探して ・。* Copyrig…

 ローズ ヒップ

ストーブの匂い 珈琲いれたての匂い どうしたって 5分進んでしまう 掛け時計を見上げ 5分引く 木製の 経年飴色のドアを押して 勢いよく 毛糸で着込んだ体を まだ透明な青紫の中へすべらせると 辛い(カライ)んだろ という予想に反し 冷たく甘い息 ・。*

『語りかけるか語らない 青いインク壺』

青いインク入りの インク壺のこと まだ子どもだった当時 家に父親のものであるガラス製のインク壺があり 青いインクが入っていた ペンもペン先もいくつかあった 私は それになぜか強く惹かれ よくひとり 白い紙に文字を書いていた 私はその 青いインクで ペ…

 息

あなたの吐く 空に向かう朝のシトラスの息も 私の午後2時の その運命を受け入れ全うした枯葉への温かい想いを含んだ吐息も おんなじようであるのに 私の吐息はどうして微かにBitter あなたの息のシトラスが甘いのはなぜ ・。*

在 る

この向こうに 在るもの しかしよく理解できます この向こうに在る 本質の輝き 愛と そして英知を “香しい” 魅惑の闇の絵画で 隠しておいて 隠したことをわすれ 在る ことを否定するのかを 香ばしいナッツ 芳醇な洋酒 クランベリーの酸味 こっくりとしたチョ…

風がはこんでいる言葉があるのを知ったのは 風を構成している絹糸のようなまたは 滝を落ちてさらに行く 勢いある水流のようなすじに 細かな光の粒子が規則性なく纏わり付いてゆくのを見たときでした 人差し指を風に絡ませるといいですよ ・。* Copyright © …

青の十字架

私に 青い十字架をください どうか青い十字架を 胸にそっとのせてください 私の胸に 十字架に吸収されゆく 内側の底蓋の下に降り積もり沈澱した 悲しみと少女の 声にならぬ声が溶けゆきますから 私に 青いインクのペンをください ・。*

 『氷の精霊』 

彼女のくちから 氷の息とともに 凍るほどに冷たいのに 甘い歌(詩)が ながれ 冬のエネルギーを上昇させているのを知ります その時です 『冬の 妖精・精霊・詩』(2014.12/05)

土の世界 - 存在

この度もまた 大地のなかに いくつの存在を見るでしょうか 彼らの存在を 彼ら存在の表情を このなかに 見い出せましょうか どうぞじっくりと ご覧ください ・。*

土の世界 - 女王

大地と それに降り積もり氷に変化したものと 地中に育ち 地表を押し上げた氷の柱 そこに見える女王の額に埋め込まれている魂は どんな色 なのでしょうか ・。*

蟻・鼠・みみずく  猫

そうか トンネルのあちら側からは 猫がこちらをのぞきうかがっていたのだ わたしのだいすきな河原の道はなくなってしまっていたのだ どうやってもどりましょうか ・。*

冬の赤

こんな ま白な中に こんな乾いた風のなかに ま白でなければ焦点のあわない 乾いた深い赤茶の花束を見て 白くてよかったと 美しい乾燥花に見入る朝の白い息 ・。*

観 察

観察すれば 魂 の在り処を 魂の なかみを 魂の形 を それは 書物でもなく 写真アルバムでもなく ただ発光する火花だと わかる だろう ・。*

Influenza

こういうわたしの日は 小人妖精と歩くことにいたします ときどき目配せ ときどきひらめき ときどき 咳ばらい カフェ いれたての 赤味ある ま黒な珈琲を口から喉へ 私の中身がぜんぶ 珈琲のふわふわにダイブ 小人もダイブ ・*。 Copyright © 2015 Mihoko Yok…

ことづて

きょうはこの わたしのとっときの箱のなかから 空色に近づいた青銅の色の玉をとりだして 高くかかげて見せましょう なにごとも 根詰める は よくないもの なにごとも 決めすぎ ず ほかのものや すこし横に跳ねてみる 隙間を 持って 。・*

十字路

白い十字路にかぞえきれない人生 頬を真っ赤にひからせた坊の横顔と 葉笛をくわえた さすらいの大獅子先生の流し目 猫のこ 子猫 みんな真っ白いのに 坊の頬が赤く 大獅子先生の鬣は金色で 猫のこ子猫の紅潮した鼻先に色を見る 真白は芸術だよ ・*。 Copyrig…

合 図

深く 深く沈み込むような どこまでも染み込み浮かびあがりはしないような赤味ある紫に 見開いた目を通り越し内宇宙に到達するロイヤルブルーの重なりを見ていました どうやら どうやら とうとう その時なようです 果たして 掻き分けた先に光は ・*。

再 会

秋に私を勇気づけてくれた 赤い実の彼らに 氷が融けて染みていってしまった湿った土で 再会しました 初冬の雪の降る前に 刈られて地面に無残に投げ出されていた彼らを知っていました 大半はいなくなり 幾らかの赤い実の仲間が今ここにいます ・*゜

足 跡

誰かに どなたとは言いません 誰かに 今世 生まれた私と出会いまたは すれ違い または言葉を交わした誰かに 忘れ去られるのが私の常なる性質であるのであれば どうか 私を立ちのぼる紫色の煙にしてください 夜明けの匂いのする紫の ・*。 Copyright © 2015 …

死へのイマージが 煙り 青紫に 燻る いまだに多くが ブルースの思いへ ほんの短い散歩を経て帰り着く 人間は 我がの死に憧れて生きる表現 多くが青に魅了されるは それ ・*

季節の手紙 - 土の世界

空気が冷たく凍るように冷え込んだのに 雪は降らないので お砂糖をまぶしたように地表は まばらに見えるような均一加減で霜が残りました 地中にもたくさんの洞窟が姿をあらわし 神殿のような霜柱が地表を押し上げ賑やか 春の女神の手紙です 。*・

土の世界

どうして 土の世界はこんなに心をふかふかさせるのか 地表だけでなく地中だけでなく 染み入る水に、湿ってほくほくしだす土 渇いて風に押し流され空中に舞う土 せわしない虫の世界には枯れ植物が隠れている これは今朝の心躍る 地中の氷の建築物 。*・ **

人差し指

人差し指の秘密 もうひとつだけ教えて差し上げましょう 人差し指は正直なのです テーブルで本をめくるまたは 例えばプリントに添えている あなたの手の指先に 男性が自分の指先をゆっくりと何気なく 吸い寄せられるように近づけるならば 心もあなたに **

Calling

Lemon色 の月の光りの森からの便りは あなたの内に届きましたでしょうか あなたの内側の世界の真ん中で その真っ白な中に浮かび 微かな飛沫とともに 淡く仄かな月の森の香りを残しながら あなたの真ん中に染み込むのを待ちましょう **

秘密ですけど

夢です 長閑で影のない 淡く明るい色調の 暖かささえ肌に感じる世界です しかし見たことはないはずですよ ここは そう あそこだ もちろん知っている場所だ と感じるでしょうこの淡い世界のなかにおいてはね 知っている と 想うでしょう目を覚ますまでは あな…

言(コトヅテ)伝

青の夢 見果てぬ **

青くなければ知らせは降らない

わたしが居た その場所にすでにもたらされ存在していた言葉だろうか 言葉だろうか歌だろうか詩だろうか Hummingだろうか その場所はすでに 時間とともに過ぎ去っている新たな今 私はその時の “今” と一体となり この過ぎた風景の中に言葉を読む はたしてあの…

幻 光

暴風雪の夜の 息もできなくなるほどの雪と風と圧とに 国道沿いの歩道にて遭難するのかと目眩 足を取られ目をあげると 何者かの存在に はたと今にかえる タノシモウ コレヲ タノシモウ もう現世で「遭難」はしないと声 暴風雪の夜の存在 **

ワンダーランド

これよりご紹介いたしますのは 隣り組でうわさの 猫顔の巻貝と 道端で巻貝とはたと出会ってしまい どうにもよけられずにいるショコラ色の毛並みの針ねずみ 白いターバン(いえ巻貝)を頭に載せた二面性の御婦人 喜びにはずむ大型犬と散歩する少女の影 仮面舞…