現代詩
積み上げられていたタオル 積み上げられて崩されたクッション (バベルの塔で何が) どこから現れ消えたか テーブルに大洪水をもたらした出来事 (では水流はどこからどこへ ) 残された波乱の跡から意識が「遡る」なら 喜びの 遊びの 歓喜の体験の跡と知る …
泣いております泣いております 私のこの本体の内側の 中央の深い emerald水(翠玉水)の湖のほとりにて立ちすくみ 頭を垂れてただホトホトと 涙をこぼしているのです いえそれは 私ではないのです いつかの他世の 私の精神なのです いまだ 泣いているのです …
人は 良い思いをもつ他の誰かに ふれられることを必要としている それだけど 年を重ねるにつれ誰かにふれられることが減ってゆく 年に一度会う 母方の祖母の手の 甲をさすったとき 言わずも祖母の体の周りを 喜びがおおっているのを私は感じた もっと たびた…
身体が ガタガタと震え止らないでいるのに 両腕を 両肩を抱いてその震えを止め なぐさめることのできない両手 その両手は蓋をあけることならできた 両目から 頬を伝わらずに規則性なく落ち続ける水が いえ私が 両手で蓋を開け続ける 何を探して ・。* Copy…
青いインク入りの インク壺のこと まだ子どもだった当時 家に父親のものであるガラス製のインク壺があり 青いインクが入っていた ペンもペン先もいくつかあった 私は それになぜか強く惹かれ よくひとり 白い紙に文字を書いていた 私はその 青いインクで ペ…
この向こうに 在るもの しかしよく理解できます この向こうに在る 本質の輝き 愛と そして英知を “香しい” 魅惑の闇の絵画で 隠しておいて 隠したことをわすれ 在る ことを否定するのかを 香ばしいナッツ 芳醇な洋酒 クランベリーの酸味 こっくりとしたチョ…
風がはこんでいる言葉があるのを知ったのは 風を構成している絹糸のようなまたは 滝を落ちてさらに行く 勢いある水流のようなすじに 細かな光の粒子が規則性なく纏わり付いてゆくのを見たときでした 人差し指を風に絡ませるといいですよ ・。* Copyright © …
もういませんよここには 先ほど、わたしが爪先立ちしたところ 勝手にながれてゆきました 昨日は 昨日はもういないのです ここには けれど 明日はですね 今日がわたしの足の下にあるので やって来れはしないんです 今日が昨日になり 爪先立ちをして流れ出る瞬…
こういうわたしの日は 小人妖精と歩くことにいたします ときどき目配せ ときどきひらめき ときどき 咳ばらい カフェ いれたての 赤味ある ま黒な珈琲を口から喉へ 私の中身がぜんぶ 珈琲のふわふわにダイブ 小人もダイブ ・*。 Copyright © 2015 Mihoko Yok…
白い十字路にかぞえきれない人生 頬を真っ赤にひからせた坊の横顔と 葉笛をくわえた さすらいの大獅子先生の流し目 猫のこ 子猫 みんな真っ白いのに 坊の頬が赤く 大獅子先生の鬣は金色で 猫のこ子猫の紅潮した鼻先に色を見る 真白は芸術だよ ・*。 Copyrig…
誰かに どなたとは言いません 誰かに 今世 生まれた私と出会いまたは すれ違い または言葉を交わした誰かに 忘れ去られるのが私の常なる性質であるのであれば どうか 私を立ちのぼる紫色の煙にしてください 夜明けの匂いのする紫の ・*。 Copyright © 2015 …