青いインク壺

 日々写真詩-『妖精・精霊・詩』

しあわせの午後

 

 

 

    そうやのぉ

 

          そうやのし

 

    

   風が言葉を返してくれた午後の

   湿りはじめた土を含む匂いが

   小学生の 熊野のわたしへ繋いでくれた

   ただそのときそのときを

   とにかく過ごすことで 何かに あきらめていたわたしへ 

 

   いなくなった 大好きな人々そうでない人々 

   熊野で生きる年老いた父母 

   田の畦をもう一緒には走らない2歳下の妹 

   いつのときも大切な年の離れた弟

   もう一度はない わたしがこどもである日々 

   何かにたとえ あきらめていたのだったとしても  それでも

   あの頃にいま幸せを投影するのは

   私は幸せだったからだろう

   ならば今も わたしは幸せなのだ

 

 ・。*

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・。*

 

                     Copyright © 2015 Mihoko Yokojima