詩
ずいぶんと以前にですけども ありましたね なみだの真ん中で夜を明かし コーヒーカップ61杯の 涙で じぶんをぐるっとかこんで朝をむかえて もう今はそれは記憶です 記憶だからとて まろやかとはかぎりませんが ・。*
温まりたいときは どうすればよいのだったかしら 背中がつめたいの 手のさきのほうがどうしても ところで あったかかったときなんてほんとうにあったのかしら 思い出せないわ いえ もう 思い出さないわ 痛みがさきに見えてしまうから ・。*
不透明であったはずだろ 人間にあきらめていることを さとられない為 なのに初めて会話しただけの「人」の顔に引き潮のような低温があらわれる さとられている 人間にあきらめていることを もしかしたら私は 透明なのか 。・*
川からの冷風のためでしょうか 梅も桜も 時を同じに花をつけるわけです 梅は一月の めずらしい雪をかむって 咲かせた花を震えさせると こちらに嫁ぐまでは思ってましたが うちから道をまっすぐのんびり歩いた辺りの梅は きっと寂しがりやです ・*
人差し指の秘密 もうひとつだけ教えて差し上げましょう 人差し指は正直なのです テーブルで本をめくるまたは 例えばプリントに添えている あなたの手の指先に 男性が自分の指先をゆっくりと何気なく 吸い寄せられるように近づけるならば 心もあなたに **