テニスンの 『 モード ⅩⅩⅡ-Ⅰ』
イギリスの詩人,テニスン(Alfred Tennyson / 1809-92)の
40代半ば完成の『モードおよびその他』の中の詩篇『モード』
があります。
以前にその『モード』の中の(ⅩⅩⅡーⅠ)にまるで魔法のように
魅了されてしまいました。
それは、テニスン詩集の、ではなく、
上の写真の書籍の。
ダイアン・アッカーマン Daian Ackerman(詩人であり、
科学者の目を持つナチュラリスト、自然誌分野のすぐれた著書がある作家)
の「庭仕事の喜び」という書籍に、引用されていた詩に。
翻訳者の訳詩、の話になるわけです。
まずは、「庭仕事の喜び」の訳詩
・。*
庭へおいで、モード
黒いコウモリも、夜も、飛び立ってしまったから
庭へおいで、モード
私は門のところで、ひとり待ちわびている
スイカズラの木は芳香を漂わせ
薔薇の麝香は風に運ばれている ・。*
『モード』の中の(ⅩⅩⅡ-Ⅰ)をさがしめくり見てみると
次のようでした。
・。*
園生(ソノウ)に入っておいで、モード、
黒い蝙蝠のような夜は過ぎてしまったよ、
園生に入っておいで、モード、
この門辺に立つは僕ひとり、
忍冬の香り、あたりに漂い、
薔薇の香り馥郁(フクイク)と風にはこばるる。 ・。*
ずいぶんと印象がかわります。
訳詩は、おもしろいです。
何度もよみかえしてみたり、また時間をおいてから
読んでみると、男性的だった岩波文庫の西前さんの訳も
とてもロマンティックにも思えます。
最初は、「庭仕事の~」のほうの、古草秀子さんの訳が
女性にしっとりと届くような柔らかい透明感のある感じで
ほんとうに素敵だと思いました。
今も、どちらかというと、そうですけど。
テニスンは男性なので、何度も読んでいると、西前さんの訳が
全体的に感じるに、いいかな、とも思えますね。
「庭仕事の~」の中で登場したときには、ほんとうに素敵でした。
あと、気になっているのは
レミ・ドゥ・グルモンの『髪』です。素敵な詩で、大好きです。
それは、またの機会にしますが。