救う夜の道は 乾いて
洞窟の向こう側の明かりは
向こう側ではなく ここ に今 存在して
洞窟の夜に響く精霊の声を
さらに明らかに聴き受けようと振り返れば
こちらを見ているじぶんと鼻先で向かい合う
正面に立つ 微かに青みを帯びたその
じぶんの中を通り抜けたなら
救う夜の道の湿度を取り戻せると
固く結んでいた口を僅かに開いて
鼻先で触れ合うじぶんに飛び込む
飛び込んだ私のなかは
青くもなく 濃い夜の色でもなく
色とりどりの花もなく
ただただレモネードのようだった
青みを帯びた私の 内側はレモネードで
胸の辺りが若い柔らかい緑なことを笑った