青いインク壺

 日々写真詩-『妖精・精霊・詩』

シュティフターの世界





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  先日、髪を切りに街に行ったかえりに
  久しぶりに図書館に寄りました。
  すごく、かなり、久しぶりです。

  何かしっかりとした目的があったわけではなく
  読みたいなと思っていた本を探してみること に。

       
        アーダルベルト・シュティフター

  チェコ領、南ボヘミアの小都オーバープラーンで生まれた。
  ボヘミア大森林の中の、プレッケンシュタイン湖の近くで
  モルダウ河谷の森や丘にかこまれ、遠くアルプスの山波が
  薄霞のように見える場所であった

        「ブリギッタ・森の泉」
                   訳者あとがき(宇多五郎)より



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  シュティフターの作品は、かなり日本語に翻訳されている
  とのことです。
  ここまで多くシュティフターを翻訳している国は日本だけとか。
  
  わたしは、「ブリギッタ・森の泉」は持っていますが
  「石さまざま」という、幾つかの石それぞれについて書かれた作品がまとめられたものが読みたくて。
  図書館で探したら、書庫にありました(*´∀`)

  古いです。
  裏表紙が本体から剥がれかけていて、今にも   分解されそうです。

  世界の文学14(中央公論社)1965年
  まだ私が生まれていません。

  価格は、390円。となっています。

  懐かしの図書貸出しカードが、裏表紙の内側に貼り付けてある紙でできた平たいポケットに入っています。
  懐かしくて、これ好きです。

  えー、カードには、昭和40年(本書発行年)の判子が5個ならび、
  次が、昭和41年が1個、
  次が、昭和43年が1個、
  次が、昭和43年が1個、
  次が最後で、誰も借りないまま いきなり
              昭和58年  (;´_ゝ`)1個。


  息を飲むような、起伏のある作風ではなく
  また~り と、日々の暮らしと自然の移り変わりが描かれているような作風なので、大いに受けいれられる
  というわけには、いかなかったのかな。


  わたしは、この、また~り(ノ´∀`*)とした自然の描写がとても、イメージの広がりやインスピレーションを動かしてくれるので、好きです。
  色彩の表現が特に良いなぁと思うのです。



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  「水晶」という話を、読むところです。


「・・・
  草地のはずれに近くなると、谷川があって、それに高い板橋がかかっている。
  子供たち二人は、橋をわたりはじめ、その高みから下を見おろした。
  谷川にはほとんど水がなく、ただ、まっ青なひとすじの糸が、
  ひでりつづきのために白々としている川原を縫って走っている。
  このように水が少ないことと、その澄んだ色とは、高い山奥ではもう
  寒気が支配していることを語っている。
  寒気が地を締めつけるために、泥が水を濁すことがないのである。
  また水が凍って、そのなかからは、ほんのわずかの澄んだ雫しか、
  したたり流れることがないのである。
  
  子供たちは、板橋をわたりおえると、沢地をどんどんすすみ、
  しだいに森に近づいた
  ・・・」


  というように、ほぼこの感じでずっとつづきます。


  登場する人びとは、大概ほとんどが善良な隣人で、
  なので、もうこの今の雑音ひしめきあい、せわしなく、もしや人間に善良などという形容は皆無なんではないかと、疲れはてたかたには、
清涼剤となり、imageの巣穴となり、最良の眠りを与えてくれるものと、
  なるかも


  ちなみに、わたしには眠りは与えてくれません。不思議と。
  imageが動きをともない、話はすすむのです。

  良かったら、どうぞ ( ゚∀゚)つ
    
   

      
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゜.*