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真っ黒な 漆黒の空も
真っ黒な 漆黒の海も
どちらも
どんなにそれが黒いのか
ほんとうに知っている人はなかなかいないのですから
ほんとうに知っている人は
それが実のところ
黒くはないことを知っている
のだろうと 私は想うのです
雨に濡れた駐車場のアスファルトは
新月の夜の空とも
その下の漆黒の海とも
区別なく まるで
世界は漆黒なようだと
ただ1つの街灯の
滲んだ明かりはのぞいて
漆黒は
ただ世界を映したにすぎないのですから
私たちは漆黒の黒のほんとうが
黒ではないかもしれないと
口にしても良いのです
それでも真っ黒というのは
思い切ってみると
実に気持ちの良いもので
一度、そんな風に
まるで下に何があるのか分からないほどに
真っ黒に塗り込めたとき
黒が、漆黒が
たいへん美しく
ドキリとするほどなのです
なぜなら
黒で隠された色の想像をやめてしまう前提で言うならば
楽になるからですよ
黒はひじょうに美しい色で
魅惑的で
誘惑的で、
あらゆる色を内包し
ナーバスで恐ろしく
あらゆるものを隠し
そうかと思えば露にし
さらに際立たせるのです
ほんとうの黒を 漆黒を
侮ってはならないと知っているあなたは今すぐ
後ろを振り返ってみるとよいのですよ 瞬間的に
その影をのがさないように
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