青いインク壺

 日々写真詩-『妖精・精霊・詩』

写真詩

はじまり

土の世界 - 今朝の 氷の土の世界にて 天使の羽の彫刻に出逢う 物語りは すでに始まっている ・。*

光をみる

妖精や精霊または天使という存在は その人間が 自らがいちばん理解しやすいものの形をあてはめて見るのだろうか それともそのように形をとって現れてくれるのだろうか 光でありエネルギーであり色であり 動物や鳥であり羽があり 人の様相であり ・。*

苔(moss)

苔 (moss) この小さな彼らな集まりななかに 流れる 流れ込む また 流れ昇る 勢い滑らかなエネルギーの場を見る 土に 岩に 静かに在るように見える 苔moss の彼らの世界は 力強く能動的だと気づく 季節は春のはじめ ・。*

妖精のこと

妖精は こんなふうに 花やモチーフのまわりを 何人かで 踊るようにとびまわってるのよ だいたいは 3~4人ということがよくあるかしら ・。*

ありがとう

ほんとうに ありがとう この壁を青い色にできたのは この壁紙の下の壁の色が 青い色だったからです ・。*

あのね

そとをさがして ないものは だいたいは このなかにある しってるよね ・。*

ちいさきものの

ちいさくとも 無口であろうとも大人しくとも 奥行きのあるものの美しさに わたしの中にむけての奥行きを 等しく教わる ・。*

わたし

わたし あなたのこと 知ってるの えぇ もちろん なぜって わたしはここに今いて 今しかいなくて ここにしかいないと思うでしょうが わたしは とてつもなく好きなように存在してるのよ 当然ご存知でしょうが だから お応えしました ・。*

= Zero

いつしか夢のように すべてが 明らかになり 見えても 見えていなくても存在している ″わたし″ を じぶんの中に すべてのものの中に 体感するでしょう じぶんの中にあるものを あなたは 目の前に見ていることも ・。*

 不思議

ある猫が立つとき きっちり両前足をそろえない不思議 庭の木の 小さな実が まるで魚や蛙の卵にような輝きを見せる不思議 内側のわたしが 若い年のころに想像していた “ なっているはず ” の内側のわたしに ならなかった不思議 ・。*

美のあるところに絶望はないのか

ときに灰色が 耐え難いほどに 身もだえするほどに 美しく感じる 美しく “ 見える ” とは少し違い そのとき私はこちら側から見ているのにもかかわらず そのグレイの内側やさらに奥や 表情を 胸の 胸よりも僅かに高い位置で感じるのだ そしてあまりの美しさに …

女の痛み

森 瑤子の『ダブル・コンチェルト』の女は 作家シナ、 45歳 私とは 年齢以外、立場も生き方も随分と違う女性 だけどこの年齢が持つ “ 女の痛み ” は 今だからなのか苦しい程わかる この年齢がそうさせるのかわからない なぜか どうしても 自分が女だと 思…

 だからね

だからね、だれかに あなたはこうね と言われても 信じないことね 自分が、わたしよわたし わたしはこうね と言ったからといって 信じないことね わたしは わたし ただそれだけなんだから ・。*

 笑うこと

わたしが わたしの身体から のぼり漂う匂いをかぎ わたしの手のひらを見つめ 浮かび上がる血管の際立つ その手の甲をさすり その身体と手でつくりあげたものを この世界に出現させ 作品に遠慮がちにそっと触れ 笑うこと わたしの人生のだいたいの様子 ・。*

感 触

そこに 見ようと思わなければ見えないような 一色を見るとき わたしは なんとも言いがたいよな 香りと甘みをともなう 貴重な感触を得るのだ それは なぜか 歯触りと表現できるかもしれないが 決して噛んではいないのが 貴重であるところだ ・。*

 季節の精霊

そうよ 何かを急いでいるようだったのよ あのかた はやく はやく と 冷たい 光をたくさん混ぜ込んだ 甘くて薄青の粒を そこいらじゅうの風に撒いてまわってたのよ 生き物たち 緑や花もふくめてね みんな だからざわめいているの ・。*

 旅

もしかしたら人は からだが老いたある時 年をとってしまった ではなく えらく遠くまで来てしまったものだ と思うのだろうか 老体の内には 老人は住んではいないのだし ・。*

 救 い

皿と皿がぶつかり合うような ある種の動物の悲鳴のような音が 脳内に響きわたる 突然の幕切れ わたしを トメドナイ綱渡りの迷路から救い 意図しない焦点を目の前の風景のなかの ある物質にあわせてくれる メヲサマス ヒツヨウガ アルノカ ・。*

湿 度

いつからあるのか 誰のものかわからぬ 古い時代の写真帖 袴姿で並ぶ 髪を上げ 鏡餅のように大きく結った女性たち 名前も 文字も書き込まれていない 枯葉のように乾いた写真たち 母は言った 前のめりな息で この人がそうじゃないかと思うの 母は探していた …

我がまま

唇に そっと小指を添わせ ミルクの中でラズベリーをつぶしたような色合いの口紅をひく ほんとうは似合わないのかもしれない だけどわたしの顔が パッと 好きな人を見かけたときのように明るくなるから いいの それで ・。*

私を救ったもの

人は 良い思いをもつ他の誰かに ふれられることを必要としている それだけど 年を重ねるにつれ誰かにふれられることが減ってゆく 年に一度会う 母方の祖母の手の 甲をさすったとき 言わずも祖母の体の周りを 喜びがおおっているのを私は感じた もっと たびた…

匂い とは

匂いと 記憶 の関係 香りは 認知症予防にも効果を期待されていると 以前に耳にした 猫など野生本能の動物は 風邪などで鼻が利かなくなると 食べなくなる 匂いを感じ感知する とは 脳的に身体的に精神的に感情的に 積極的に生きることか ・。*

 つづき

たとえば 花が開いていない日があったとしても たとえば それだけを目的にしてきたのだったとしても あなたの目的は 落胆し首をうなだれたその視線のたどるあたりに 潜んで用意されていることも 知っていることですよ ・。*

 落葉樹

たとえば ひとつの木に 花しかついていない ひとつの木に 実しかついていない このしばらくの期間は わたくしたちを 現実とは 夢にすぎないのか という 真実への気づきに導いてくれる 貴重な時にちがいない ・。*

  蓋 

身体が ガタガタと震え止らないでいるのに 両腕を 両肩を抱いてその震えを止め なぐさめることのできない両手 その両手は蓋をあけることならできた 両目から 頬を伝わらずに規則性なく落ち続ける水が いえ私が 両手で蓋を開け続ける 何を探して ・。* Copy…

 ローズ ヒップ

ストーブの匂い 珈琲いれたての匂い どうしたって 5分進んでしまう 掛け時計を見上げ 5分引く 木製の 経年飴色のドアを押して 勢いよく 毛糸で着込んだ体を まだ透明な青紫の中へすべらせると 辛い(カライ)んだろ という予想に反し 冷たく甘い息 ・。*

『語りかけるか語らない 青いインク壺』

青いインク入りの インク壺のこと まだ子どもだった当時 家に父親のものであるガラス製のインク壺があり 青いインクが入っていた ペンもペン先もいくつかあった 私は それになぜか強く惹かれ よくひとり 白い紙に文字を書いていた 私はその 青いインクで ペ…

 息

あなたの吐く 空に向かう朝のシトラスの息も 私の午後2時の その運命を受け入れ全うした枯葉への温かい想いを含んだ吐息も おんなじようであるのに 私の吐息はどうして微かにBitter あなたの息のシトラスが甘いのはなぜ ・。*

在 る

この向こうに 在るもの しかしよく理解できます この向こうに在る 本質の輝き 愛と そして英知を “香しい” 魅惑の闇の絵画で 隠しておいて 隠したことをわすれ 在る ことを否定するのかを 香ばしいナッツ 芳醇な洋酒 クランベリーの酸味 こっくりとしたチョ…

風がはこんでいる言葉があるのを知ったのは 風を構成している絹糸のようなまたは 滝を落ちてさらに行く 勢いある水流のようなすじに 細かな光の粒子が規則性なく纏わり付いてゆくのを見たときでした 人差し指を風に絡ませるといいですよ ・。* Copyright © …